
隣の街がたいへんだ!シリーズ、第三弾。石神井公園が駅前再開発と近接する外環の2によって景観や環境が破壊される話をしてきましたが、実際行ってみると、その石神井公園の現状が広大な森と湿原、さらに文化施設まであって、練馬区のリソースに感服したのでした。
さらに練馬区には区立美術館まである!これはうらやましい!なんなら板橋区と世田谷区と目黒区と武蔵野市と三鷹市にもある。杉並区にはない!
練馬区には画家や彫刻家のアトリエが多く、現在練馬美術館では在住の画家:野見山暁治「野っ原との約束」開催中。…これが改築前の最後の展覧会!
しかし、その改築(美術館と同じ建物の貫井図書館)が問題視されていることがわかりましたので、遠征してきました。前後編です。
前編は「区と区民グループの懇談会」編、後半は新美術館設計の平田晃久展についてです(後編はこちら)。
2024.8.27(書くのが遅くなりすみません)、20F建てで展望室まである練馬区役所の20F会議室(再三書いてるけど、練馬区は区役所とかにも区民施設があってうらやましい)にて「区との第3回懇談会」がありました。「練馬区区立美術館を考える会」に連絡を取ってみたところ、杉並区民でも来ていいですよ、と。
いや、うち対話の区政とか言ってるけど、その集会のほとんどは傍聴や取材禁止、区民のみの事前申し込みでなんなら抽選ですけど?しかもこれは、美術館の会と「貫井図書館利用者の会」の二つの区民グループが主催して、区の職員に参加要請し、行政がそれに応じたもの。それが3回目。いやいや、杉並区で区民グループの会が公開の場に呼んだって、職員来ない。一方的な「説明」だったら来るけど、区民が問題提起してそれに答える会に来るわけがない。
私が「すごいですね」と言ったら、「練馬区は強権的で」「杉並区の対話の区政がうらやましい」って言われましたが…いやいやいや!
しかも、前列に並んだのが課長級(施設整備、美術館…)4人、あと図書館担当と部長。さらに半数が女性。取材も入ってるし、区民側の配信もしている。
もうダメだ。完敗だ。いや、杉並区と競り合うためにやってるわけではないのですが。
…問題は、中身!
結論から言えば、ゼロ回答。いくつか「えっ?」と疑問に思うような詭弁やはぐらかしもあり。
それでもこういう場ができるだけでもすごいんだけど…。対話の区政とは…。



(両団体のチラシ)
さて、練馬区区立美術館と貫井図書館の建て替え、何が問題か?
1.利用できる施設が減る
2.建設費が上昇
3.設計の問題(機能)
4.設計の問題(デザイン)
前編では1.2.を取り上げます。

(美術の森公園の造型。これ(ペンギンではなく)はいかがなものかといつも思うので、この際考えたほうがいいのではないか。新美術館のコンセプトに合致とかいって、これだけ残ったりして)


(サンライフ練馬)
1.利用できる施設が減る
立地は西武池袋線中村橋駅前。アクセスゾーンには謎の動物彫刻を配した美術の森公園があり、線路沿いから入る1Fが図書館。公園の奥の大階段の上、2,3Fが美術館。さらに隣接する敷地に都の勤労者施設(集会室やスポーツ施設)サンライフ練馬があり、この敷地を一体にして再編成する計画(再開発)。
問題はサンライフ練馬が完全廃止。どーん!と巨大な美術館・図書館になる。
サンライフ練馬は現在76団体が登録、代替施設について、区の回答は「光が丘や石神井公園の施設へ」というが、そりゃ遠いでしょ。それにそこの施設の既存の利用者、利用団体もいるのだから、混雑必至。
これ、施設再編問題として、杉並区でも他の自治体でも起きているけど「新しい」「多機能の」「多世代が共有できる」「多様性(?)」などと謳いますが、それ、要は一つにまとめて絶対数減らす、ってことですよ。どこが多様性なのか。
改築期間中(25-28年度)の貫井図書館(利用者のべ59万人)も問題で、現在の計画ではどこか(未定)に検索予約と返却だけの仮設窓口を作る。
閉架じゃあ気軽に自分で本を選んで読めないよ。特に子ども。子どもにとって大量の本から自由に選べる経験や、図書館でのイベントのない3年は大きい。小学生期間の半分ですからね。
こちらも練馬、光が丘図書館に行けということなのだけど、子どもや高齢者は遠くには行けないし。新聞や雑誌の閲覧や勉強にも使えない。
施設再編と再開発が組み合わさったこれ、学校や役所の移転や統合でも起きていること。他だとタワマン載せたりしちゃうしね(目黒美術館が危ない)。

(貫井図書館。小さいが利用者は多い)
2.建設費上昇
これは今話題の中野サンプラザはじめ、公共施設のみならず、あらゆる建設事業が直面していること。
練馬美術館でも、当初予算(プロポーザル募集時)76億円が昨年7月に81億円、今年2月には93億円と爆上がり中!
この懇談会では区民側から、今後の見通し、中止や縮小はあるのか、という質問に対し行政は「現時点で予想がつかない。引き続き費用高を注視する」と他人事のよう。
予想つかないってのは上がるってことだし、注視したって払うのは練馬区の税金なんだよ?それでいて「中止はない」とキッパリ。なんでそこだけキッパリなんだよ?ヤジりそうになるが、杉並区民だから黙っていた。何しろみなさんこのようなダメ回答にもブチ切れることなく、粛々と質問を重ねていて偉い。対話。
この予算上昇についての「会議はやったのか?」に対し、美術館担当課長はなんと「会議を行ったかどうか、今資料がないので答えられない」!!!杉並区民、思わず「えええっ?!」と叫んでしまいました。失礼しました。だって、自分が出た会議でしょ?あったかなかったか、資料見ないとわからないって記憶喪失かい。要は「記憶にございません」回答ですね。
これには区民からも何度も何度も追及されるも「不正確なお答えをするわけにはいかないので」と逃げる。国会から練馬区まで、おかしな答弁で強行突破しすぎではないか。
予算が上がった理由としては「エレベーターの大型化、エスカレーター設置、働き方改革で」とのこと。待て待て。美術館のエレベーター(業務用)は最初からデカく設計しないとダメだろ。屋外のテラスで4Fまで上下する構造なのにエスカレーターなくて階段だけだったんかい?それ、そもそもの設計おかしくないか?
そう。今大人気の建築家:平田晃久氏による新美術館、設計そのものが大問題。このことは後編で!
この先設計の瑕疵がまだまだ出てきたら(基本計画→基本設計→現在は最終的な実施設計の段階)、それでまた工費は上がるでしょう。予想不能(練馬区談)に。
これってなんか思い出すものが…あぁ、豊洲市場だ。業務用駐車場がないとか、製氷施設を作り忘れたとか、水神社も忘れたとか、床耐荷重が足りないとか、天井が低いとか、スロープが急だとか、ヘアピンカーブがあるとか、市場の機能を理解してないダメ設計でボロボロなものができてしまった。
では、この設計は美術館と図書館の機能を理解していますか?
後編に続く!