ニシオギDRUNKerシンブン

再開発に反対するニシオギDRUNKerです。各地レポも。

立石:葛飾区住民訴訟(前編:裁判について)

立石再開発については、これまでも注目してきました。これほどの規模での再開発、しかも低層の庶民的な商店街から超高層タワマン3棟(+13Fの区役所)へと街の形が180°変わる。なんといっても、元の立石が「吞んべえの聖地」であることから、西の吞んべえの聖地:ニシオギとしては、この再開発許しがたし。
再開発そのものはなかなか裁判で争うことが難しいのですが(それもおかしな話ですが)、現在葛飾区民のみなさんが葛飾区役所の移転→再開発ビルに入ることを争点とした住民訴訟を起こしています。今回前編はその裁判について、私が理解できた範囲でまとめてみます(裁判、難しいですからね)。

後編はこちら↓

https://nishiogidrunker.hateblo.jp/entry/2025/01/17/095254


第1回公判は2024年7月19日、第2回が10月30日、最初に原告の意見を述べ、それに対する区の反論書面に対し、第2回で弁護団が意見を述べる、という流れだそうです。第3回は今年2025年の1月28日
実は…私は傍聴していません。なぜなら、原告住民は237人!毎回葛飾区からバス3台を仕立てて傍聴に来るのです。しかし東京地裁の一番広い法廷のキャパは103人、抽選です。原告の方を差し置いてヨソ者が傍聴したら申し訳ない。
それに原告団が報告集会をしてくださるので、そこで詳細な解説を聞くことができます。葛飾シンフォニーヒルズは立石からも近い。


おかげで、1回目は初宇ち多(「多」に点々付けてウチダ)のもつ煮、2回目は毘利軒で串カツと立石飲みも堪能。宇ち多(点々)、噂には聞いていたがもつ煮ともつ焼きのみ、入るとお店の人が「今日あるのはレバとカシラと…」と言うのでそこから選ぶ。ストイックだ…(ストイックすぎてお皿の写真なし)。
こんなステキな立石を壊してはいけない。

 

被告:葛飾区長青木克徳
訴訟の目的:「(葛飾区が)不当に高額に設定された権利床が記載された組合の権利変換計画に同意し、これを漫然と撤回しないまま、権利変換計画の認可を東京都知事に受けさせ、権利変換処分がなされたことの違法性を争う(訴状より)」
損害額:7億1610万2775円
経緯:2024年2月監査請求、3月に却下、不当な決定から一ヶ月以内に訴訟。4.11訴訟。

権利床、権利変換とは?:これが再開発で出てくる重要ポイント。再開発とは、複数の地権者がいる地区の複数の建物を、ひとつ(のプロジェクト)の建物にまとめること(ざっくり)。その際、地権者で、再開発(組合など)に参加する場合は保有する土地を売買するのではなく、新しく建つ再開発ビルの「床」と交換する。これが権利変換。保有している地価とビルの床の価格を計算して、等価になるのが基本(金銭で調整したりするケースもある)。

しかし再開発事業者は、新しいビルのすべての床=地権者の権利床、だと事業費も儲けも出ないでしょう?そこで「床を増やして」余った(と、いうかこっちの方がメインになってる)床を売る、これが「保留床」。(これまで言及してる阿佐ヶ谷のケースの「土地区画整理」でも「換地」による「保留地」を売って事業費を出す。これまでは土地区画整理でやることが多かったが、規制緩和で再開発がしやすくなった)。
土地は増やせない。だから、床を増やす。そのためには?高層化しかない。つまり高層化は、本来は物理的には増やせない土地を増やす錬金術。私は再開発のことを学んで、こう理解しています(中世的な理解…)。

 

で、立石のケース。
北口再開発地区には葛飾区の文化センターが含まれており(元々は再開発地区に入ってなかったのに、区が再開発組合に参入するために後から入った。立石にタワマンではデベロッパーが乗ってこないので、公共を入れて再開発を成立させるため。もうめちゃくちゃだ)、その土地を再開発ビルの東棟3F(13F建て)に権利変換して、区役所を移転する。2017年都市計画決定。23年葛飾区が権利変換で東棟3Fを取得。
ワンフロアで区役所というわけにはいかないので、4Fから13Fの保留床を買う。この価格の基準になるのが3Fの権利床なので、「権利床を不当に高く交換」すると、権利変換で獲得できる面積(3F)を損するだけでなく、「保留床(4-13F)も不当に高く買う」ことになる。
さらに、今後の(南口)再開発で同じことが起こりかねない、ということで、237人の区民が、不当な税金支出である!として訴えているわけです。

 

では、その「不当」なお値段とは?葛飾区の反論は?
東棟3Fの区の権利床の計算は98万円/㎡。原告が根拠にしているのは、東棟2Fの民間権利床(商用)が45万円/㎡であること。同じ算定なら葛飾区も倍の2フロアもらえるはず。
この差額に面積を掛けた損害額が7億1610万2275円の訴訟額であり、計画に同意し、管理を怠ったことが葛飾区の財産を目減りさせたため「葛飾区長は公庫に返すべき」と申し立てている。


訴訟額は2Fと同じ値段で試算していますが、実勢価格としては2Fの方がさらに高いはずではないか?これを弁護士さんは「同じビルの1Fと2Fと3Fに同じようなファミレス(実名で解説)が入ってたら、どれが一番繁盛するか?」と、わかりやすく解説。商業施設のテナントなら、低層階の方が高い。東棟1、2Fは商業施設。そもそも「お金にならない」公共施設よりも、高いはずです。
これに対して、葛飾区から不動産鑑定した「効用比」という資料が提出されました。
この評価自体も区の権利床を低く見積もりすぎに見えますが、そんな総合効用比(用途×階層別÷100)で計算しても、床単価は2Fの方が高いという結果に!

・用途別効用比
どういう施設が入るか→どれだけの価値があるか(指数):商業施設を100、駐車場・アンテナ設備40、庁舎108(!)
※しかも算出方法が異なる。庁舎は原価(実際に建てるお金)、商業施設は収益還元(商売してどれだけ儲かるか)。実数と予測を同一式に入れていいのか?

・階層位置別効用比
東棟3Fが100、2Fが75(割安!商業施設は下にある方が高くなるはず:1Fの方が3Fより客が入る)。西棟3F(住宅)は55。

このふたつの指数(自体が、なんかおかしいけど)から算出すると
・総合効用比(用途×階層別÷100)
東棟3F:108、2F:75。これでも3Fは1.44倍高い。実際の3F:988,215円/㎡と2F:452,234円/㎡は2.18倍とさらに大きい(区は内装費用が入るから、としている)。

どうしても解せないのが、階層別も当然ながら、用途別で区役所として使用すると商業施設より8%高く評価するところ。だって区役所って儲からないんですよ?この床を買うと儲かります、だからその分高いです、ならわかる。資本主義ってそういうものでは?

 

他人(葛飾区)の財産を計算して儲かるの損したの、というのも世知辛いので、うち(杉並区)の阿佐ヶ谷北口との類似で考えてみます。

阿佐ヶ谷の2017年地区計画で「用途地域」というのが定められた。今杉一小のあるA街区が、高さ制限60mの商業施設になれば値段上がる。でもそのバリューは計算に入らず、現・河北病院のC街区に杉一小を移転したら、学校にしか使えないのに杉並区は「デベロッパー感覚で(談)」マンションにしたらいくらか、で計算。こちらは土地ですが、区がもらう区画を高く評価しすぎている。同じ構造です。

asakitas1.hatenadiary.jp


???


稼げる場所、儲かる場所を高く売り買いするのは、わかるんですよ。でも、儲けたい人に高いものを安く売ってあげて、公共という稼げないが必要なもので高いお値段を税金で払って穴埋めする。
儲けたい人には高く売ったり貸したりすればいいじゃないですか?資本主義なんだから。自治体は公共だから、資本主義の論理には与していない?それは民間のデベロッパーに対して使うべきではなく、区民の公共資産を守るために使う論理でしょう?


後編はそんな不条理と闘う住民と弁護団の熱血な意見です。

https://nishiogidrunker.hateblo.jp/entry/2025/01/17/095254