
「区画再開発」研究集会レポート、2日目は11.2江東区文化センターにて区画整理と再開発それぞれの部会が開かれました。
私は「阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会」としては、区画整理なのですが、区画再開発編集委員でもある島田代表がそっちに出ているし、個人的に再開発に関心がある(マニア)ので、再開発部会に参加。
部会は配信なし、今立ち退きに遭っている地権者の方もいるので、そのへんの詳細は書かず、各地域の「考える会」の報告や世話人の方たち(元々当事者だった人が区画再開発の「世話人」として活動)の回答などを中心に書きます。
そんな中で目立った問題提起が「学校」について。私もその点について質問すると、各地での学校や子どもの軽視が見えてきました。
本記事では、各地域の事例の後、学校問題をまとめ、最後に共通課題を書きます。

部会はテーブルを囲む座談会方式で設定され、最初にホワイトボードにこんな表を書き込んでいきます。各地域ごとに、今、どの段階なのか?
埼玉県からは大宮地域の人たちと、さいたま市議会議員さんが参加。大宮、浦和を貫く再開発計画が話されました。
・大宮駅西:準備組合、25年都市計画決定?
・大宮駅東:2004年決定(公共施行)したが中止、準備組合が発足。
・駅周辺に小分けに複数の組合を作るが、ひとつの駅前広場化が狙い。
・浦和、大宮でGCS(Great City Saitama かと思ったら、Grand Central Stationだった)構想:まちづくりとして開発。
・浦和GCSは大林、氷川神社参道までは東急。デッキ、駅ビルを真正面に建て替え、広場、ヤード、新連絡通路(市が負担)の上にビル。屠畜場を移転、田んぼ15000平米に迷惑施設(サーマルエネルギー、産廃)集中。
・人口増で医療機関逼迫、順天堂を呼び込み。
品川区
昨日(記事末にリンク)の「めざす会」報告にもあったように、区内全域に超高層ビルを建てる計画。そのためにデベロッパーが暗躍している。あちこちの事例を紹介していただきました。
・東大井5丁目:35年前の準備組合が凍結しているが、まだある。発起人、書類、事務所あり。建設委員会で区は「再開発に対する機運が高まっている」。
・地上げ:コロナで飲食店不況→駅前のいちご不動産が買ってペラペラのビルを建てて、賃料坪80000(銀座並み)、テナント入らないでも再開発時にテナント利益として評価し、高く買わせる。
・行政の決定を装ったパンフレットを戸別配布。品川区のロゴ入り。
・五反田 : 地面師(積水が騙される)事件。
・戸越公園:ワンルーム18平米が18万円/月。半分売れ残る。
・武蔵小山:地権者棟は6階建て、安っぽい、エレベーター小さい。販売棟はタワマン。共益費は同じ。商店はモールから出てしまったので、入るのはATM、不動産、医者ばかり。
柏
柏駅西口北は、今は市民があまり通らない場所。西口は再開発準備組合ができた(高島屋が組合から撤退し、遅れる)、タワマン3棟→2棟にしたが、その分高層化した。三井不動産(東口も)。東口では丸井、ヨーカドー、そごう撤退。そごうを市が86億円で買う。


(世話人の方から、すでに再開発完了した事例の報告が三地域)
・戸塚:1995-2015年自治体施行。ビルに入居したが店はどんどん潰れる。買換資産特例(売るだけだと税金がかかる)で土地を売却せず権利変換したが、権利床は資産と見なされ、減価償却、経費として計上できない。建て替え資金貯まらず、2005年に大量転出が起きた。
・小松川(亀戸、大島):美濃部~鈴木都政下での防災再開発、自治体施行。100ha全部が地権者、転出かマンション・都営に入る。10000人の新しい街になる。都が直接担当し、コンサルは入らなかった。住民運動からまちづくり協議会を作り、江戸川区、東京都課長も入ったが会合に出てこない。
要求したことは、中学校を作ること、街の顔になる施設を作ること。
・六本木ヒルズ:地権者600世帯のうち、再開発地域の真ん中にとり残される世帯は、森ビルに費用と税金を持たせて転出した。森ビルの保留床棟と、地権者棟が見た目は同じだが作りが違う。地権者が入るのは安普請で、階段などの共用部も狭い。それを売るときは権利床価格で森ビルに売る。マンション集会所では葬式禁止、死体は24時間で出すさないといけないルールがあり、「死んではいけないマンション」「人が死なない街」。マンションに入った商店は、内装やPOSシステムは森ビルが指定し、「街のイメージを統一」するよう要求される。ほとんどの店が退去した。
各地からの報告に加え、再開発完了後の生々しい実態が語られた後は、相互に質疑応答。
その中で、学校関連の話題をまずまとめます。
全体の意見としては
・タワマンができて子どもが増えるのはわかっているのに、統廃合で学校不足になっている。
・都市計画がまったくできていない。
・行政に能力がなくなった。個別の再開発をやりたいようにやっている。
学校不足への各地の対応は
・人口が増えても一時的だから、として校庭にプレハブで対応(江東区)。
・プールを潰す(さいたま市)。
・駅周辺の三校が統廃合した。図書室、視聴覚室を教室にして本は廊下に出した。「タワマンの子どもはどうせ私立」と言われているが(中野区)。
・統廃合して用地を売り、田町駅前の再開発ビルに学校が入った(港区芝浦)。
こうした施設削減は文科省方針で、小中一貫は国のエリート養成のため。その結果、学校は町田では半減。中央区浜町の久松小は子どもがあふれて校庭で走れず、学年で曜日を決めて交代で使用している。
学校の軽視は、統廃合だけではなく、再開発によって勝手に悪条件の場所に追いやられるケースも。
阿佐ヶ谷でも、杉並第一小学校が換地によって病院跡地に移転させられることが問題なわけですが。
柏:駅前再開発区画に隣接している柏第一小学校を、ほかの小学校、中学校と合併して一貫校に。第一小学校はずっと現地建て替え方針で、一貫校はストップしている、としていたが、2023年9月に突然決定した。小学校が隣接しているとタワマンが配慮しないといけないから、追い出した。学校跡地に市はアリーナを計画している?
さいたま市:大宮、浦和GCS(グランドセントラルステーション)、二都心四副都心構想。大宮では、小学校が駐車場に囲まれる。武蔵浦和は、4校合併で3600人規模、プールを潰して作る。校庭にプレハブを作ったので、体育は高校の校庭を借りる。
市は「まちづくりに資する学校づくり」として、中央区城東小を視察。東京駅前のミッドタウン八重洲に入ったブランド小学校で、完全なセキュリティ、月島などまでバス送迎がある。
このように、学校という行政が担うべき大切な事業をないがしろにして、なぜ再開発に勤しむのでしょうか。
・行政は「人口を増やして税収を上げる」を至上命令としている→東京都は財政調整(財調)で各区の住民税を再分配。お金持ちの港、品川など→財政難の江戸川、葛飾、足立へ。
・再開発とはなにか?土地の権利だけではなく、街がどうなるのか、安心して暮らしていけるのか、という視点が必要。本来はコンサルが見通すべきだが、ゼネコンの儲けの絵しか描かない。
・国交省は「30年で再再開発」方針。
自治体の制度の活用について
・港区マスタープラン策定は区民からの公募。委員にみんなが応募し、2枠を4枠に増やさせた。区の委員会のあとにみんなで討議し、その際の資料コピー、会場は行政持ち。高さ制限とゾーニングを目標とし、条例はできたが運用までいけなかった。老朽マンションがひっかかり、ゼネコンが大量の意見を出した。
・まちづくり協議会条例:住民+コンサル(行政が補助)が都市計画を作る。住民が制度を活用できず、再開発の前に事業者が使って「住民の意見」としてしまう。商店会長とゼネコンが入り、再開発組合につなげる。
・目黒区権の助坂は住民のまちづくり協議会が機能、高さと風俗規制。
・港区のまちづくり協定は住民同士の協定なので拘束力がない。南麻布2丁目は高さ制限3F。
・都市計画の前に行政が地区計画を投網のように広くかけてしまう。一定の権利制限なので、逆手にとって規制できる。
再開発に直面する地権者には何が起きるか
・再開発でメリット:借地権者、底地権者は老朽化した建物を財産処分=換金できる。権利変換は売り抜ければ得だが、住み続けると営繕費がかかり、部屋は年々減価する。
・権利変換:自分がどうなるかわからないままに都市計画決定。道路、鉄道は勝手に計画線を引いて用地取得し、残地が不整形になってしまう←収容された者が「買え」と逆収容かけられる。
・まちづくり:地権者は自分は再開発に入っていても事業者であると考えず、企業が新しくしてくれる、という考え。家がきれいになる、補助金が出ると期待しても、その後にテナント料アップ、実際は土地が床になると減価償却が発生する。50-60年住んで、出るときは?
各地での独自の取り組み
・柏:「三井不動産とは何か?」学習会を行った。基本的人権に住むところ、仕事は入るが、財産権が入らない問題。
・品川:日本の居住についての人権意識は弱い。国際人権の講演会を行っている。
・NPO法人「区画再開発」として、地権者の権利問題だけでなく、広域のまちづくりの話が去年くらいから増えた(昨日の基調講演の「民主的参加」)。「街の形が変わる」問題。