
11月3日から善福寺公園では[トロールの森2025]が始まっています。
そこで私は大長編小説(文庫で20巻)『大菩薩峠』をひたすら読み続ける、という
「DBT in the Forest」というパフォーマンスを行っています。
それに先駆けて10月某日、作者中里介山(1885-1944)の居宅跡、菩提寺、お墓のある羽村に行ってきました。
中里介山は一時は社会主義に傾倒、小説家として人気を博したのちも、社会改良と教育への希望を持ち続け、高尾山に私塾を開きました。しかし、高尾山ケーブルカー(1927/昭和2年開業)の工事のために立ち退き。そこで青梅に新たな地を求め、隣人道場を開きます。ところがここもまた青梅電気鉄道(1929/昭和4年延伸)のため立ち退き。あまりのことに空に向けてピストルを撃つ、という抗議を行いました。
そして現在。
羽村駅西口では多摩川と玉川上水によって形作られ、鎌倉街道を基盤とした伝統的な街並みを、丸ごと幅広い道路で碁盤目に区切るという世にも乱暴な道路計画のための土地区画整理事業が吹き荒れています。
そして、なんということでしょう。現在公園として石碑が建っている中里介山旧宅も、その区画整理に引っかかるのです。死してなお立ち退き !

多摩川対岸の羽村神社から見た街並みです。上半分が東口の碁盤目の新市街、下は川に向かってくだっていく河岸段丘に、建物が同じ向きではなく建っているのがわかると思います。

新奥多摩街道沿いにある聖徳神社です。上り、下り、上り、の三つの坂が合流していて、複雑な地形です。この旧市街地はこうした独特の地形が楽しい街並みです。

介山の菩提寺・禅林寺裏手の林です。崖の下に家々が建っています。緑も深く、湧水があるため井戸も多い。水がきれいなので、酒屋さんがたくさんあります。

旧鎌倉街道であることを市もアピールしているのに、それを潰す道路計画。奥の道路の向こうは用地取得されて封鎖されています。

用地取得された土地ですが、その向こうには新築の家(マンション?)を建築中です。立ち退きが決まっているところでも、新築をして販売することがあちこちで当たり前のように行われているのは、どういうことでしょう。



反対派住民は「手書き看板作戦」を継続中です。「故郷も区画整理でよその街」という川柳がみごとですね。

玉川上水の分水口です。ここから杉並区に水が送られてきます。
多摩川を渡ると、山の際に羽村市郷土博物館があります。とても立派で、大型の展示も多くて楽しめる博物館です。しかも無料。
現在、12月7日まで「生誕140年・中里介山展」開催中です(常設でも介山コーナーがあり、そこで見られる介山の生涯解説ビデオがおもしろいです)。


『大菩薩峠』新聞連載の第一回。

介山の書画、主人公の机龍之助。昔の文人は書画のたしなみもある人が多いですが、絵がうまいですね。


くだんの立ち退き2連発からの発砲事件のパネルと、立ち退きになった道場。


『大菩薩峠』にはムクという最強の犬が出てきます。介山も犬を飼っていたのですね。こいつも強そう。ムクはかわいいのですが、なぜか龍之助のこと好きみたいなんだよなぁ。ムクちゃん、そいつは悪い人なんだよ。
ほら。

話の発端。大菩薩峠で巡礼の老人を斬り殺す龍之助。
この絵巻はすごい ! ほしい !
私も「ストーリーボード」を作っているのですが、これは日本の絵巻的に、空間を歪め、異なる時間を並べるという超絶技巧。例えばこの大菩薩峠発端(1巻)の隣に、恵林寺慢心和尚(4巻)。


この日は朗読の体力をつける「修行」のため歩くのが目的でしたので、そこからどんどん西へ向かい、あきる野市へ。この公立阿岐留医療センターは介山が亡くなった「阿岐留病院」です。
この羽村「修行」で体力・知力を増強させて、初見で4時間ぶっ通しのエクストリームな朗読に挑んでいます。
「DBT in the Forest 中里介山『大菩薩峠』を読む」in トロールの森2025
11月23日まで!!