
来年は杉並区長選挙。田中良前区長(以下、本文に準じて「田中さん」)が返り咲きを狙っているのはあきらかで、このあいだも街宣をしていたし、こんな「通信」が新聞に折り込まれていました。
なんか、いろいろひどかったので添削してみました。
周りの人からは「字が小さいからどうせ読まれない」とも言われていたけれど、それは私も耳が痛い。痛いけれどまったく反省はしておらず、長文を書くのも読むのも大好きなので、こんなダメチラシでも、私は全部読んでしまう。「どうせ読まない」ような人は河北の新病院の写真だけ見て「立派なのができてよかったね」と思うのでは? たぶんそれで田中さんの目的は達成。近所の人たちからは「こんなデカいとは」と嫌がられているらしいですが。

で、全部読むんだけど、さっそく「こういうのがイヤだ ! 」にひっかかる。それは写真のとこのリードで、たとえば「昨今、老朽化した病院~ニュースがあ(改行)る中、」。こういうのほんとキモチワルイ。本文ならともかく、リードで行の長さが写真に合わせてずらしてあるのだから、いくらでも改行位置は調整できるだろうに。「阿佐ケ(改行)谷」なんか最悪。
さっそく挫折しそうになりましたが、もっとキモチワルイのが、これ。

「自分の会社の社長について『ただいま社長は外出していらっしゃいます』と言ってはいけない」と、新入社員に言うようなことを、政治家のチラシに言わなくてはいけない。「サポーター」はあくまで善意の第三者・ファン、だという建付けなのだろうが、そんなのは通信を作るための単なるスタイルであって、選挙事務所が出しているのは当たり前のことなのだから、「さん」はやめてほしい。石原のぶてるや小宮あんりのチラシがいつもこれ。自民党は「総理がおっしゃっている」だからなぁ。
「阿佐ケ谷"駅"北東」は単なる脱字だけど、肝腎な計画名で脱字は痛い。ちなみに「阿佐ヶ谷姉妹」だが、「阿佐ヶ谷」は地域の名前で、駅名は「阿佐ケ谷(駅名のケは大文字)」、町名は「阿佐谷(北・南)」。しかしatok変換とかで出るのは「阿佐ヶ谷」だけなので、毎回「ケ」に打ち換えていてたいへんめんどくさい。たぶんその過程で「駅」を落としてしまったのではないかな。
と、一枚目は一般論ですが、2ページ目からは阿佐ヶ谷問題。
詳しくはこちら。
杉一小移転問題のまとめ - 阿佐ヶ谷駅北口・杉一小改築問題情報
河北病院の最新状況はこちら。
どうなる?どうする? 河北病院跡地の大問題 !! - 阿佐ヶ谷駅北口・杉一小改築問題情報



病院と学校の両方に改築の必要性がある。←わかる。
両方の代替地が必要。←わかる。
しかし。
病院改築(民間)と学校改築(公共)は、たまたま近所で同時期であるだけで、まったく関係ない別の事業。それを一緒にするアクロバットをやってのけたオレスゴイ、なのだけれど、そのアクロバット、必要 ?
けやき屋敷(民間)にどちらかの施設を移転する「必要」というのは、後付けで、今この計画をやってるから出てくる話。
しかももともと河北はAさん(けやき屋敷)からの借地であることに言及なし。それが入ると、ぜんぜん印象変わってきませんか ? 同じ人(Aさん)の土地の中で、自宅の場所に病院を建て替えする。すっきりしてますよね。

同時期なら工事車両や騒音がいっぺんに二倍。しかし順番にやっていたら工事車両や騒音の期間は二倍以上続く。トータル変わらないし、車両通行については長い方がイヤだろう。
なお、河北にいろいろあって工事は遅延しまくり。小学校の建て替えを「先行」は、当初計画で現地建て替えなら、もう新校舎ができている。遅延がなくても河北の解体を待って建て替えているので、ぜんぜん小学校は「先行」していない。
あと、切り取りするの忘れちゃったから拡大して掲載してないけど「当時の職員ほとんど、2人以外が反対したがオレが決めた」については、その2人って最近河北病院に天下りした吉田副区長じゃね? というのが当然わいてくる疑問。
それと「岸本区長も計画の優位性を認めた」は、私は区長は「6年前なら(移転計画は)止められていた(が、もう遅いからやるしかない)」と言ってると思っていたのだが、なんか他にも「優位性が認められずうんぬん」言っているらしい。そもそも「岸本区長の判断はおかしい」とつねに言っているくせに、ここだけ「岸本区長が言ってるんだから正しい」は矛盾です。


「病院への利益誘導」についてはこのあと反論。
しかし土壌汚染、水害リスク、樹木伐採についてはいっさい説明なし。田中区長時代の公聴会などで住民が懸念を示していたのは、むしろ後者。前者を言っていたのは「特定勢力(このあと出てくるのだけど、そこで意味しているのとは別の勢力)だったなぁ。
土壌汚染、水害リスクについて説明しだしたのは岸本区長になって「振り返る会」でやっているけれど、それも満足のいくような回答ではなく、その歪みが最近ますます露呈している始末。
樹木伐採については「もう済んだこと」「ちょこっと残したからいいでしょ」みたいに扱われているし。公聴会で私が質問したら樹木伐採の埋め合わせには「屋上緑化や壁面緑化も含む」と言われた衝撃は忘れてないよ。

パーティの発起人じゃなくて、後援会でゴルフ仲間だよね、そうとう仲良しだよね、ということが抜けている。別にいいじゃん「私の人脈でなしとげました」と堂々と言えば。

「田中さん」につながることだが、これだけ長いインタビューをしているのだから、たとえば「地元商店会のひと」とかインタビュアーの素性(匿名にしても)を書くべき。それがないからゴーストライター感が。もし秘書とかだったら、「社長はいらっしゃいません」になっちゃうでしょ。なんなら自分ひとりでインタビュー形式で書いている可能性もあり。まぁ、そう疑われないように、ちゃんと誰がいつどこで誰にインタビューしました、というのをはっきりさせるのが、ちゃんとした文章ではないですかね。素人のブログじゃないんだから(と、防衛線)。
タワマンについては、いきなりタワマンが出てきたわけでなく、三者協定の地区計画によってそれぞれの「跡地」の高さ制限を変えたので、「小学校跡地」は45m、公開空地をもうけるとボーナスで60mになることになっている。60mといったらタワマンだろ、と。オフィスやホテルという実現性は少ないし、違う用途でも高層ビルはイヤだ、というのが住民の声だった。
なお「タワマン」の定義はないらしくて、だいたい60mらしいのだが、「59mだから」とかいう言い訳も可能。私てきには杉並区では他の建物の高さと比べて、45mならもうタワマン認定していいと思っています。そうしないと石神井公園みたいに「すでにタワマン2棟があるので、100mの再開発ビルも"突出しているとはいえない"」になっちゃうからね。


やれやれやっと最終ページだ。
馬橋通り(神明宮の前)は今、工事車両だけ通れるガードレールでふさいで一方通行なのだけど(その工事期間が延々続く)、こないだ東側がものすごい渋滞していて、なんだろうと思ったら、途中で右折して河北の駐車場に入る車列だった。すべての工事が終了したら両側通行になるらしいけど、それまでずっと続くわけです。
あと、救急車は中杉通りから来て新進会商店街(南側の細い商店街)を通って渋滞するのだけど、東側から入る救急車はこの馬橋通りを通る。病院に入る車の渋滞で救急車が遅れる?

オチは「まちづくりはみちづくり」か。
最近都市計画の勉強を始めたのだけど、1970年代のアメリカという事情(モータリゼーションへの危機感)はありながら、クリストファー・アレキザンダー『パタンランゲージ』やジェイン・ジェイコブズなどの有名どころは「道路は住宅地に入れるな」「住宅地の道は短く狭くしとけ」と、車を排除するのがあたりまえ、みたいに言っていますね。
ヨーロッパでは車を街に入れないのが主流になってきてるし。日本は「ウォーカブルなまちづくり」というのが流行りだけど、ほんとの意味でウォーカブルにしてほしいものです(それは岸本区長もやれてない)。

最後の最大の添削です。
写真は前のページのものだけど、ここまで語られてきた「阿佐ケ谷駅北東地区」は、杉並第一小学校、けやき屋敷、旧河北病院、新進会商店会であって、ロータリー、西友、三菱銀行は入っていないのです。
「向けて」と語っているので、公約的なことかもしれないけれど、ここまでやってきた地区計画はやり直しになります。ここも「まちづくり」して、どこにでもあるような駅前にするのが完成形なのかもしれませんが。

参考。田町。どこでもあるやつ。