「対話の区政」を標榜する杉並区・岸本区政。しかし前記事の「デザイン会議」のように異論あるものを「楽しく話し合おう」と丸めこんだり、阿佐ヶ谷の「まちづくりを振り返る会」のような行政が事業計画を変える気もなく単に説明しようとする会など、その運用そのものが疑問です。
じゃあもう諦めるのか、というわけにもいかず、どこかに改善の糸口はないものか。
「聴っくオフミーティング」は岸本区長就任直後からの事業で、今回はグリーンインフラ。区長の専門である環境問題であり、善福寺川上流調節池に関連してるし、少しは「話になる」のではないか?と、応募してみたら、当選しました。
2024年9月7日、午前午後各20人(公募と無作為抽出案内からの応募)。申し込みは61名で、アンケートだけ出した人も足すと104名いたそう。
いきなり駐輪場で(子どもワークショップも同日だった)駐輪券が要るかどうかで管理人さんと誘導の職員さんとで齟齬があり、管理人さんは「今日いろんな人来るけど何があるの?」と、「対話の区政」は区役所前の駐輪場にすら広まってないなぁ…
1テーブル4人、あ、また付箋だ…。
資料は少ない。事前に配ってほしい…。上記のアンケートとかも。あと、「ワークショップ」という形式に馴染みのない人もいるので、そこも事前に説明を。
撮影して区のYouTubeにアップします、と言われたけど、参加者は撮影していいの?SNSは?聞いたら職員同士で打ち合わせした上でNGと判明。私はモニターとかも写したらダメ?と聞いたけどNGで、他の方は「なみすけのぬいぐるみ撮ってインスタに上げていい?」と聞いてたけどこれもダメ!
これ、せっかく区民が発信してあげようというのだから解禁した方がいいと思うし、少なくとも一度ちゃんと検討して対応を決めた方がいい。当日誰も可否を聞かないでなし崩しに個人情報が出たり、運用を萎縮した結果なみすけのぬいぐるみすらダメ、とかでいいのか。
仕方ないのでお土産のなみすけサブレーをうちのグリーンで撮影。青虫ではない。すぎなみザウルス島から来た妖精。
まずは、司会のアクティブラーナーズ・山之内りんたろう氏から「アイスブレイク(説明のこと。なぜ横文字使う…)」。
「グリーンインフラ」という言葉を今回初めて聞いた人、詳しい人、まちまちで参加していると思うが、今日のゴールは「グリーンインフラについての気づき、学びを身近な人に説明できる」「杉並区の水害対策について発見や気づきを得る」ように、とのこと。
え?聴っくオフというが、なんかそれじゃ勉強会みたい。行政が区民の多彩な意見を聴くのではなく、こっちが聴く側?
それというのも「初めて聞いた」人に事前に資料を出さずにほって置いて、今日は「気づく」立場に限定するからでは。
と、私が疑念をモヤモヤしてるうちに、“いかにも“ワークショップらしい「肘タッチで自己紹介」として、3分間全員が歩いて、なるべく多くの人に名前と地域を言い合って肘タッチする、というプログラム。手や足悪い人がいたらどうするつもりだったんだろう。
土木計画課・中村さんの説明。豪雨について、下水溢水対策(浸透舗装、学校などにケーソン、雨水浸透ます)、そして「身近なみどりでできること~グリーンインフラから始める水害対策」。
「自然環境が有する多様な機能を活用し、地域課題に対応、地域づくりを進める」と、いう説明。
地域課題=豪雨水害として、下水に雨水を流さない「土の地面を増やす」などが上げられ、その結果コミュニティガーデンや水辺空間への住民参画などが「地域づくり」。
ここで家庭からの(豪雨時)排水抑制の話をしてしまうので(シャワーや洗い物を控える、など)そうしたちょっと特にグリーンではないものが混同してしまったかな、と。
ちなみに、この場では言わなかったけど、私は雨に限らず、常時、流し台や洗面台に桶や洗面器を置いて、野菜や手や顔を洗った水は、じょうろに移してGo to植物。節水節約である。
ところが、職員さんに「区役所外壁にゴーヤのグリーンカーテンはなぜ止めたの?」と聞いた人がいて「電気代の削減より水道代が高くて」とあっさり答えられていた。えっ、いやいや、でもそれこそ天水尊でも使えば?人件費かかる?しかしそこで雨水の吸収があれば、区民への啓発になれば、コストかけてもやっていいこともあるのではないか?
グループワークの最初は、京都産業大学発案カードゲーム「グリーンズ」。
「大雨が1週間続く」という課題カードに、行政、企業、市民のプレーヤーカード(職員は行政、参加者は市民、企業は今日は使わず)立場から、手持ちのカードを出して、何ができるか話す。ファシリテーター(とは言わなかったが、進行の練習もしていたようでスムーズだし、専門なので質問にも答えられる。デザイン会議とは違う)土木計画課の職員さんは「行政」のやることとして「土嚢」「トラック」などを出す。他の人も「スマホ」で情報を集める、「ビニール袋」で水嚢を作る、など出している。
私は、手持ち「田んぼ」とか「ビル」だので弱かったこので、「本」カードを「大雨の原因となる環境破壊の原因を学ぶ」、「ビル」「トラック」を逆さにして「減らす」と、頓智で対応。
本題は、豪雨洪水とグリーンインフラについてフリートーク。2005年善福寺川水害のことが話題となり、私は川が溢れる仕組みを机に貼られた模造紙(付箋だけでなく)に図で解説。もちろん合流下水も指摘。私は2005年に駅で大雨、溢れた善福寺川を強硬突破するという、今思えばアホだった。流され、だけでなく、合流下水の水につかったんだよ?
マンションだとグリーンインフラ何ができるのか?、意識低い人にどうアプローチ?など、模造紙と付箋にいろいろ各自で書く。
基本、大雨のときの排水抑制と、地面浸透。前者は家庭の話ばかり。後者は割と公園や区民農園など、公共がやるべき課題が出る。
ボード(フリップ)に「一つ気づきを書いて」から、休憩後、全員が半円形の席次で1分ずつ発表。
以下メモ。
・水害に遭った人、自然を愛している人と出会えた。紙芝居を作りたい。
・これまで日常で楽しく行っていたガーデニングなどがグリーンインフラだった。
・水は必需品で雨も自然のもの。広く浅くより多くの人を巻き込んで。
・生活排水が水害の原因ということをもっと区民に伝える。
・新築しようとして雨水浸透ますを建築家に否定された。効果がわかるようにする、コンクリートを花壇にする助成、土壌の保水量の違いなどの情報提供を。
・グリーンインフラの価値は多様性を高めることをひとつの基準に。
・区のレベルでやること、個人の対策、定量化できないか。
・情報発信を啓発。ひとりひとりができること、地域でできることなどの数値化。
・自ら情報発信を。
・水害は害でなく、水に親しむことに変えていく。感覚的、ヴィジュアルでグリーンインフラを知るよう若い人のポスターや漫画を。
・区民参加型のグリーンベルト、水害だけでなく多目的に。
・地震に比べ、水害はあまり知られていない。
・これまでも大雨で水を流さないなどはやっていた。土嚢は持ってきてくれると職員に確認。
・緑地、和田堀が自然もあり、水害対策としてもよい。
・必要な情報が届いているか。昔は天水尊や防火水槽があった。
・いつもライブカメラと雨雲レーダーに怯えていた。川の氾濫は雨だけではない、誰にでもできる対策を伝える。
・大雨はワンクッション置いて流す。土のあるところを増やす。
・なぜこんなに雨が増えたか。温室効果ガス。産業のどこを抑えればいいのか。都市計画で考える。
・暗渠をグリーンベルトに。
・グリーンインフラの目標値と達成率が出るようなサイトを。
・地域のお祭りや環境以外のボランティア活動の人に啓発する。
・防災無線は聞き取れない。ネット使えない人にどう発信するか。
私は「汚い水があふれるのはイヤだ!」ボードで「合流下水で川の水が汚い。私は2005年水害でそんな水に腰まで漬かったのはヤバかった。緑地に溢れさせるにしても汚い水はダメ。善福寺川上流調節池のようなグレーインフラの土木工事による洪水対策は、そのため環境破壊のマイナス分がある」とぶっこむ。
さらに二巡目(希望者のみ)発言で「善福寺川上流調節…」と言い出した途端!
司会が「今日のテーマに関連して」といきなり遮る!司会がそういうことしたのはこの時だけ!しかも早い!
何?“前科“アリで事前にマークされてた?善福寺川上流調節池はNGワード?
しかし「関連です!公園でグリーンインフラというが、これが公園や緑地を三ヶ所も潰します。そうしたマイナス面も知らせて、グリーンインフラで置き換えられないか、マイナスをどう補うか、という発想が必要」「情報発信は行政だけでなく相互に、というので、今、私からみなさんに発信しました」とやりきる。
岸本区長のコメントはこんな感じ。
「小さな力をまとめる、情報を知り行動する。行政は区民や事業者に助成や要望をするが、それには限界がある。双方向の発信、学習、体験から夢やヴィジョンを。水害という言葉がネガティブから前向きなものに。
定量化、数値化というお話もあった。流域治水、流出抑制について、熊本大研究室と連携している。学術や技術の支援と並行して、中心になるのは区民の小さな行動。
貯水池(善福寺川上流調節池のこと。最初のあいさつでは「貯留池:いけ」と言っていた)のこともグリーンインフラと同様に知ってほしい。今日説明会(説明会は8日。明日。区長は来なかった)がある。
治水の取り組みにはさまざまな他の効果もある」
など。
おまけ。
これをみなさんに見せたかった、合流下水放出。これほっといてグリーンもないもんだ。